男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「きき手だから、書類書きは大変だろうなぁ。」

「何故、骨折なんてしたのでしょう?」

「アイツ、軍人のくせに暗闇が怖くてパニックになって階段から落ちたらしい。」

「えっ⁉︎あのホール前の階段ですか⁉︎」

「竜騎士団の先が思いやられるな…。」

「大丈夫なんでしょうか…。」
サラもちょっと心配になる。

「まぁ、団長補佐を推薦しといたから何とかなるだろ。」
既に他人事の様にカイルが言う。

「それよりも、サラが早く元気になってくれないと困る。父上と一緒にボルジーニに帰るぞ。」

「…帰れるんですか⁉︎」

「今回の第二皇子の失態により、近く国王は失脚する。後を継ぐのは前国王の弟君だ。
彼は竜と共に世界を放浪する旅をしている、一風変わった人物らしいが、頭が切れ、前国王がもっとも恐れていた人物らしい。
カターナ国もこれから良い方向に変わる筈だ。」

「楽しみですね。」

「だから早く元気になってくれ。」
サラは笑ってこくんと頷く。

カイルはそんなサラを愛おしそうに見つめ、微笑み返す。

「ボルジーニに行ったらいろいろな場所を案内しますね。美味しいものも沢山あります。」
サラは嬉しそうにそう言う。
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