男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される

何やら大事そうにビロード色の箱が運ばれてきた。
「こちらをサラ嬢にプレゼントしたい。」

「私に、ですか⁉︎
有り難き幸せでございます。」
戸惑いながらもサラは受け取り、頭を深くさげる。

「中を確認してみてくれ。」
陛下はそう言ってサラに箱を開けるよう言う。
戸惑いながらもそっと蓋を開けると、
エメラルドに輝くネックレスが光っていた。

誘拐事件の時にどこかへ行ってしまったと思っていたネックレスに似ている。

サラは目を丸くして驚き、陛下とカイルを交互に見る。

「煤だらけの地下室で見つけたんだ。
ただ、鎖が切れていたり熱で土台が変形してしまっていたから、陛下にお願いして直しに出していた。」
カイルがそう言って微笑む。

「そう、私が見つけ出したかったがカイルに先を越された。
私は人脈と権力を駆使してこの短期間に直させただけだ。」
笑いながら陛下はそう言う。

ネックレスは前よりもゴージャスさを増し煌びやかに光っていた。

カイルが箱から取り出して、サラの首に付けてくれる。

「ありがとうございます。
もう、戻って来ないものと諦めていたので、とても嬉しいです。」
サラは瞳に涙を溜めて喜ぶ。

「良かったな。」

カイルはそう言って、今にも泣き出しそうなサラを気遣い、
「では、そろそろ出発時間ですので陛下。これで失礼致します。」

「ああ、見送りは出来ないが、良い旅路になるよう祈っている。」
そう言って陛下は段を登り席に戻っていく。

二人は揃って頭を下げて部屋を後にする。
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