男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
「とりあえず夕飯にしよう。」
カイルは、サラの手をさりげなく握り歩き出す。
「…はい。」

夕飯は温かい野菜のスープや柔らかい子羊のステーキなど、充分に冷えた体を温め、美味しい物を食べ、ホッと気持ちを穏やかにしてくれた。

デザートにはプリングやイチゴのケーキ、アップパイなどいろいろな種類が並べられ、全ての種類が食べられないくらいだった。
 
「こんなにいっぱいのデザートは初めてです。」
サラは感動し、目をキラキラさせてちょっとずつに切り分けて貰い、沢山の種類のデザートを堪能した。

「頑張って全種類食べなくても、明日食べればいいから。」
カイルはそんなサラを可笑しそうに笑って見つめる。

「カボチャのパイとチーズケーキは明日の朝に食べたいので、取っておいて下さいね。」
サラは、給仕をしてくれる使用人に一生懸命つげていた。

「全部サラ様とご主人様のものですから、心配しなくても取っておきますよ。このケーキは全部ご主人様のご指示なんです。」

「そうなんですか?」

「サラ様が疲れて帰るだろうからと、甘い物を沢山用意しておいて欲しいと連絡があったんですよ。」

「そうなんですか?わざわざありがとうございます。」

「みなまで言うな……ただサラに喜んで欲しかっただけだ。」

どこまでも優しくて気遣ってくれるカイルに感動してしまう。

< 275 / 282 >

この作品をシェア

pagetop