男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
そして、この地に来てから2度目の冬
男子にしかかからない謎の流行病で兄リュークは呆気なくこの世を去ってしまった。
一人残されたサラは大好きだった兄を失い絶望の中悲しみに暮れていた。
この先、
私は一人でどうやって生きていけばいいの?お父様をどうやって救い出せばいいの?
…お兄様…教えて…
サラはリュークのお墓の前で、来る日も来る日も泣き続けた。
傍には青い大きな竜が寄り添い、彼女を守り温め続けた。
「お嬢様、そろそろお戻り下さい。
この寒空に長く外に出ていては体が持ちません。どうか…お願いです。」
一緒に来た使用人も兄が亡き後、一人去りもう一人去りと…
今や父の副臣であるルイと、サラの乳母であるジーナの夫婦、二人だけが残った。
「…ジーナ…一人にして…
お兄様が居なくなって…私はどうやってこれから生きていけばいいの…。」
青い竜ブルーノの首にしがみ付き涙を流し続けるサラ…
不意に、バサバサと羽根を伸ばしたブルーノはサラの服を優しく咥え、自分の背中にポンと乗せたかと思うと、
空高く飛び立つ!
「キャッ⁉︎」
小さな悲鳴と共にサラは訳も分からず必死でブルーノの背中に抱きついた。
「お嬢様⁉︎」