男装令嬢は竜騎士団長に竜ごと溺愛される
ジーナの悲鳴だけが虚しく響く。

「ブルーノ!!
サラ様をどこに連れていく気だ!早く降りて来い!!」

ルイは慌てて馬に飛び乗り、飛び立つブルーノを追いかける。

「ブルーノ!!
降りて来い!サラ様は女子だ。
乗り手にはなれない!!」

いや、待てよ?
竜が認めた者が乗り手になるのか⁉︎
ルイは青く輝く竜を追いかけながら考える。

もしかして、ブルーノは次の乗り手にサラ様を選んだのか?

ルイが追いかける道沿いの森の奥に
バサァと一振り羽ばたいてブルーノが降り立つ。

「ブルーノ…

突然どうしたの?
びっくりしたじゃない…
どこかに連れて行きたかったの?」
驚いたおかげで涙は止まっていた。

ブルーノの手綱を必死に握りしめていたサラが手を緩める。

兄の見よう見まねで、背中からスルーと地面に滑り降りる。

痛っっ!いたたた…初めての着地は上手くいかず尻餅をつく。

そんなサラにブルーノは鼻先を擦り付けて立ち上がるのを手助けした。

「ありがとうブルーノ。」
鼻先を撫でながら礼を言う。
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