自信過剰な院長は既成事実を作る気満々で迫ってくるんですぅ
「お前、しがみついたまま中々俺のことを離さなかった。体力あんじゃねぇかよ」
「嘘、ないないないない、体力も離さなかったことも」
妄想が浮かんでくるたびに大急ぎで頭を振る。
「やだ、記憶がないままヴァージン失ったなんて、そんなのヤダ、嘘、泣く」
首を振って頭の中からイメージを追い払う。
「もっと素敵な夢みたいな初めてが良かったぁぁぁぁ!」
体育座りで顔を膝小僧に付けていたら頭を撫でられた。
「お前、俺のこと好きなのか、好きなんだろう」
「どうして?」
「興味ない男のことだったら、そんな夢見ないだろう。そこまで絶望的に泣かないだろう」
「ん?」
「塔馬に抱き寄せられて泣いたのは嫌だったからだ」
「あのとき、焼きもち焼いてましたでしょ」
「ねぇよ。それより好きな俺との初めてを夢のように素敵に過ごしたかったんだろう?」
「ん───、よく分からないな」
頭の中が整理つかなくてつぶやきが出てくる。私は隼人院長からなにを言われているんだ?
「冗談はここまでだ、事の経緯を説明する」
「え、冗談だったんだ」
「がっかりだよな、既成事実がなくて残念だったな」
記憶のない初めてじゃなくて良かった。
「もう! 冗談がきついですよ」
「そうふくれんな。俺んちに居ることから聞きたいか? それとも素っ裸の理由が知りたいか?」
私を見つめる瞳に寄り添うような涙ぼくろが嬉しそうに揺れる。
「今のこれが夢なのかな、女子会が現実で」
おっかしいな、なにがあったの?
「隼人院長も途中から女子会に参加したんですか?」
「するわけねぇだろう、迎えに行ったんだ」
「どうして?」
「日ごろ神経を張り詰めて疲れているから酔いつぶれたんだよ」
心が押し潰されそうな毎日で心身共に疲労困憊。
「酒に弱いんだってな、もう調子に乗って呑むなよ。呑むなら俺の前だけにしろ、他の野郎の前では呑むな。腹減っただろう?」
私に疑問を残させたまま隼人院長がキッチンからベッドトレイに朝食を乗せて持って来て、ベッドに向かい合わせに座った。
「食えよ」
「オムレツにサラダにサンドウィッチにオレンジジュースって凄い美味しそうですね」
「美味しそうじゃなくて旨い、循環器内科は元々器用だ。なにをやらせても器用にこなせる」
確かにね、その自信過剰さが羨ましいほど。うんうん唸って頷いた。
「それにしても盛りだくさんですね」
「これぐらい食えんだろ、食いながら聞いてろ」
「はい。オムレツもサンドウィッチも好きなんです」
「寝ているお前に話しかけて聞き出したら寝言で喋った」
「嘘」
「ホントだ」
「話しかけないでください、死んじゃう」
「嘘、ないないないない、体力も離さなかったことも」
妄想が浮かんでくるたびに大急ぎで頭を振る。
「やだ、記憶がないままヴァージン失ったなんて、そんなのヤダ、嘘、泣く」
首を振って頭の中からイメージを追い払う。
「もっと素敵な夢みたいな初めてが良かったぁぁぁぁ!」
体育座りで顔を膝小僧に付けていたら頭を撫でられた。
「お前、俺のこと好きなのか、好きなんだろう」
「どうして?」
「興味ない男のことだったら、そんな夢見ないだろう。そこまで絶望的に泣かないだろう」
「ん?」
「塔馬に抱き寄せられて泣いたのは嫌だったからだ」
「あのとき、焼きもち焼いてましたでしょ」
「ねぇよ。それより好きな俺との初めてを夢のように素敵に過ごしたかったんだろう?」
「ん───、よく分からないな」
頭の中が整理つかなくてつぶやきが出てくる。私は隼人院長からなにを言われているんだ?
「冗談はここまでだ、事の経緯を説明する」
「え、冗談だったんだ」
「がっかりだよな、既成事実がなくて残念だったな」
記憶のない初めてじゃなくて良かった。
「もう! 冗談がきついですよ」
「そうふくれんな。俺んちに居ることから聞きたいか? それとも素っ裸の理由が知りたいか?」
私を見つめる瞳に寄り添うような涙ぼくろが嬉しそうに揺れる。
「今のこれが夢なのかな、女子会が現実で」
おっかしいな、なにがあったの?
「隼人院長も途中から女子会に参加したんですか?」
「するわけねぇだろう、迎えに行ったんだ」
「どうして?」
「日ごろ神経を張り詰めて疲れているから酔いつぶれたんだよ」
心が押し潰されそうな毎日で心身共に疲労困憊。
「酒に弱いんだってな、もう調子に乗って呑むなよ。呑むなら俺の前だけにしろ、他の野郎の前では呑むな。腹減っただろう?」
私に疑問を残させたまま隼人院長がキッチンからベッドトレイに朝食を乗せて持って来て、ベッドに向かい合わせに座った。
「食えよ」
「オムレツにサラダにサンドウィッチにオレンジジュースって凄い美味しそうですね」
「美味しそうじゃなくて旨い、循環器内科は元々器用だ。なにをやらせても器用にこなせる」
確かにね、その自信過剰さが羨ましいほど。うんうん唸って頷いた。
「それにしても盛りだくさんですね」
「これぐらい食えんだろ、食いながら聞いてろ」
「はい。オムレツもサンドウィッチも好きなんです」
「寝ているお前に話しかけて聞き出したら寝言で喋った」
「嘘」
「ホントだ」
「話しかけないでください、死んじゃう」