紙飛行機
「なぁっアンタ矢沢莉奈だろ!?」
すると矢沢は上目遣いでゆっくり顔を縦に動かした。
兄ちゃんも俺と同じ男。
松葉づえに力を入れて顔を下にして言葉にならない声を出している俺に兄ちゃんはニヤニヤした。
「〜〜っ///」
「???」
矢沢は今の俺に理解してない様子。
その顔もかわいい。
「あ、ゴメンね。立てる?」
いつまでも病院の床に座っていた兄ちゃんがやっと立ち上がり矢沢に手を差し伸べた。
「///」
な、何だよその反応っ!!!!
差し伸べた手を見て矢沢は顔を真っ赤にした。
矢沢は遠慮がちに兄ちゃんの手に触れて立ち上がった。
顔同様、手も真っ白だった。
「あの、本当にゴメンね;;」
さっきから兄ちゃんは矢沢に謝りまくってる。
「ぁ…ぃぇ…///」
真っ赤にした顔を横に小さく振った。
「じゃーな矢沢」
「今度は気を付けてね」
「あのっ!!…ぁ、…///…………ぁの…覚えててくれ…て、ぁ、ありがとう………///」
………かわいいっ!!!!!
「当然♪」
あー俺、お礼言われるの久しぶり!!!
めちゃくちゃ嬉しい〜っ!!
矢沢だしっ!!!
それから矢沢は一度ペコリとお辞儀をして俺達とは反対に進み始めた。
「あー」
俺が嬉しそうに声を出すと隣で歩いている兄ちゃんはブフッと笑いを堪えた。
「何」
「いや、予想通りの反応したから///」
バカにされた気分だ…。
「まぁ?健全なる男子高校生があんなにか弱い矢沢とぶつかって挙げ句の果てには数分も床に座っていた田村優太さんよりはマシだし?いくら病院だって床は汚いですよ?」
「うわ、コイツウゼー(笑)」
こぅやって人と笑えるのは兄ちゃんを始めるたくさんの人達でー…。
矢沢にはそんな人達がいなかったのかな?
だからスラスラ話せなかったのかな?
もしかしてー…兄ちゃんがいたから!!!???
だとしたらマジショック……orz