紙飛行機
神様のばかぁ…。
「っくっ……、…っ……ぁ…っく………っゲホッゴホゲホッゲホッ…っく…ゲホッ」
ねぇ優ちゃん、今のあたしはもぅあたしじゃないんだよ?
優ちゃんが好きだって言った髪はとっくのとうに抜けた。
もぅ優ちゃんに触れられない。
もぅお腹が痛くなるまで笑い合えない。
もぅ一緒にデートできない。
もぅ優ちゃんに抱き締められない。
もぅ優ちゃんを抱き締められない。
神様のばかぁ。
大嫌い。
「っく…くぁあ………っ、…っく」
「優太」
げ、浜井来ちゃったじゃん。
「っく……はぁ……」
「会えた?」
「…」
黙ってうなずいた。
「まぁそのかっこ見たらわかるか」
俺は部屋を出てすぐに座って泣いた。
浜井が来るまで泣いた。
何で泣いてるのかもわからない。
美奈の面影がなくなっていたから?
美奈が死にそうだから?
久しぶりに美奈と会えて話せたから?
あのクソ担当医こんな時に会わせやがって……。
「…」
「ん。飲みな」
「…サンキュ」
"人生なんて楽じゃない"
そんな事言われなくてもわかってる。
なぁ神様。
あんた本当はいねーんだろ?
美奈が死にそうだから思ったんじゃねーよ。
あんたは存在してないのに存在感はバリバリでー…。
本当はいなくて、"神様"なんてみんなが作った想像したもんだろ。
本当はあんたは応援して憧れみたいなポジションなのに、すがるポジションになったんだな。
じゃー……俺はあんたには助けを求めない。
俺はあんたを消すよ…。