紙飛行機
病室からひょっこり顔を出した美波にボールを渡した。
「これ…頼むわ」
「あいよー」
左腕が固定されている。
…俺が…ぶつけたんだよな……。
篠岡じゃなくてマジよかった。
篠岡だったら確実にヤバイ。
「何ー?これ、アンタのせーじゃないからね!!あたしがただたんに事故っただけ!!」
「…」
「……じゃーな」
「うん。自主トレ頑張ってね」
「………何で知ってんだよ…」
「え?あたし、この前見たし、健が言ってた」
あの野郎…。
知ってんなら俺に押しつけるなよ。
「ん。頑張れ!!」
「………おぉ。…じゃーな」
「バイバイ」
俺は病室を出てすぐ息を吐いた。