紙飛行機
矢沢さんに案内されて矢沢さんの病室に来た。
「…」
「…」
殺風景…な病室。
病室って物は殺風景が当たり前だけど………空気が殺風景。
花が無い。
花以前に花瓶が無い。
何も無い。
彼女の印象から意外だった。
「親、来ないんです」
「兄弟は?」
「一人っ子です」
「…ぁ……」
「………何で…会うなって言ったんですか?」
矢沢さんは俺にイスを渡して自分はベッドを挟んで反対側に、少しホコリの付いたイスをはたいて座った。
「…………彼女が死にそうで、…矢沢さんの仕草が美奈に似てたから」
「…」
「…。怒らないの?」
「何でです?当たり前ですよ」
ねぇ何で少し悲しそうなの…?