磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
気づいたらソファに沈んでいて唇が塞がれていた。

『あんたはさ、私が猫っぽいから好きなわけ?いつも「猫っぽい、可愛い。」って言うよね。私達の関係って猫ありきなの?』

その言葉を知覚した途端の悠馬の瞳を見た瞬間、動物の本能が『やばい。』と告げていた。けれど真海には逃げ道はなくデスクの下から引っ張り出されるとそのまま抱き上げられ、ソファに押し倒されたのだ。

「二度とそんなこと言えなくしてやる。」

一度唇が離れたので真海は『ごめん。』と謝ろうとしたが悠馬はそれさえ許してくれなかった。溢れる熱い想いは激しい口づけとなってどんな言葉よりも雄弁に悠馬の気持ちを語った。


「・・・ごめん。乱暴にして。」

───何やってるんだ俺は・・・。

悠馬は真海の乱れた髪と服を直しながら力なく謝った。

「私こそごめん。猫ありきなんかじゃないこと、ちゃんとわかってる。あんたがあまりに猫猫言うから猫に嫉妬しちゃったの。」

「!?」

潤んだ瞳で見上げられながら言われ、悠馬は胸がきゅうぅんとなるのを感じた。がばっと真海を抱きしめる。

「あー愛おしい。こんな可愛いやつが俺の彼女だなんて。もう何も要らねえ。」

「何言ってんの・・・。」

───私も同じ気持ち。こんなに誰かを愛することがあるなんて。毎日未知の領域に足を踏み入れているみたい。

「そうだ・・・。」

床に落ちた白髭を目にした悠馬は自分がサンタクロースの格好をしている理由を思い出した。
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