磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
ポケットに手を入れる。苦労して手に入れたものなのに先程の島田との会話と、真海との猫ありきがどうの、というやりとりからすっかり出しづらくなってしまった。

───いやいやせっかく買ったんだから、でもな・・・。

「なんか飲もうかな。あんたは?」

激しいキスに咥内の水分を持っていかれた真海がふいに起き上がったので、悠馬の手からサファイアブルーのリボンがついたプレゼントの箱が落ちて転がった。

「わっ!」

悠馬は慌ててそれを手にし背中に隠すが真海の視線は一瞬でそれが何かを認識した。

「そのブルーのリボンってさっき島田くんと話してたブランドの、クリスマス限定商品にしか使われない幻の・・・リボンだけでもほしいって言う人がいるくらい。」

「こ、ここここれは、だな・・・そう!サンタがお前に渡してくれって・・・だから俺は中身が何かなんて見当もつかねえな。そのブランドってのもよくわかんねえしよ。店が青山のどこにあるかも知らねえな。」

「青山、行ってくれたの?」

「は!いや、そんな洒落た場所俺が行くわけねえだろ。徹夜でスクワットしながら並んだりしねえし!」

「徹夜でスクワットして並んでくれてたんだ・・・。」

「あ、えっと、その・・・があぁっもう!うまくいかねえな!」

悠馬は頭をがしがしかいた。
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