磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
すると悠馬の心の声が伝わったかのように真海は照れを存分に含みながら告白した。

「花火の日にもらったハートだけどさ・・・会社とか出かける時は鞄にしまってるけど、実は家ではいつもネックレスにしてつけてるの。」

「は!?でも俺が家行ってもお前つけてないよな?」

「そっ!それは・・・あんまりにもあんたの気持ちがこもってて私もすごく気に入ってて、私達ふたりの気持ちそのものみたいで、それを人に見せつけるのはなんか恥ずかしくて。それにふたりの時つけたらあんたに『つけてくれたんだな。』とか言われるかもしれないし、それも恥ずかしくて。」

「そうだったのか。俺はてっきりつけるのは嫌なのかと。」

「そんなことない。ダサ可愛くてすごく好きだよ。」

「やっぱダサいよな・・・。」

「ダサくて暑苦しくてむさ苦しくて汗臭くて・・・」

「それって俺じゃねえ?」

「あっ、自覚あった?」

「まあな。お前がいつも言ってるからな。」

「でっ、でも私はそんなあんたが・・・」

真海が頬を真っ赤に染めて言いかけたところで電話が鳴った。

「なんだこんな時間に?緊急の連絡かな。」

悠馬が近くのデスクの上の電話の受話器を上げる。定時の一時間後には外線は繋がらなくなり受付終了のアナウンスが流れるようになっていたが、こちらで電話をとれば繋がるようになっていた。

「え?クワトロピザ10枚!?番号間違えてますね、うちピザ屋じゃないです・・・あーいえいえ。」

悠馬は電話を切ると『すげー時間だし帰るか。送るよ。』と言った。それはつまりふたりのクリスマスイブはここで終わりということを意味していた。
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