磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
ベッドの上で目覚めた真海が身に付けていたのは、悠馬にもらったばかりのネックレスのみだった。

隣では悠馬がすやすやと眠っている。

───ムサゴリラのくせに寝顔かわいくてムカつくんだけど。もっとガーガーいびきかいたりしそうなのに。

そう思っている心の声が聞こえたのか『うるせー人の寝顔じろじろ見んな。』と言わんばかりに悠馬が寝返りをうち真海の視野は彼の広い背中でいっぱいになった。

───こいつの背中見るとなんか文字書きたくなるんだよね・・・そう言えば花火の日、私の背中になんて書いて来たんだろ。いつか言うとか言ってたけど・・・喉乾いた。なんか飲も。

服を着て水分をとろうとキッチンに向かおうとすると悠馬の太い腕が伸びてきて真海を自分の腕の中に閉じ込めた。そこは彼女にとって一番落ち着く特別な場所となっていた。

直接肌に触れると悠馬の温もりをより強く感じることが出来、とろけそうなくらい幸せだった。すうっと息を吸って彼のにおいを鼻腔に入れると心が癒されるのを感じた。

「なんか飲もうと思って。あとメイクも落とさなきゃやばい。あんたもなんか飲む?」

「おお。ついでに腹も減った。」

「私も。ごちそう作る予定だったもんね。冷蔵庫パンパンだよ。」

「本当悪かった。ちゃんと全部食うから。」

「とりあえず今は深夜だしお茶漬けくらいにしとこうか。」

「その前に頼みあんだけど。」

悠馬はいつになく真剣な表情で言った。
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