磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「真海、好きだ。」

大きな体から絞り出すような声が出る。

「わ、わかってるよ、そんなこと!」

「・・・猫、たくさん飼おうな。」

「・・・うん。」

「・・・明日日曜日だし指輪買いに行こうな。」

「・・・別に、そんなに急がなくていいんじゃない?」

「お前の指に早くはめてほしいんだ。」

抱きしめたまま真海の左手をとり薬指を撫でる。そこにはまだ指輪はないのに、温かくて強い不思議な力が宿ったように感じた。

「・・・まったく、せっかちムサゴリラ。」

真海は悠馬の広い背中に手を回し、そこに指で文字を書こうとしたが、指を止め思いきってその言葉を口に出した。

「すき。これからもずっと。」

「!?」

悠馬は驚きで体を震わせたがそれは歓喜の震えへと変わった。

「何、あんた、泣いてんの!?デカ男のくせに・・・。」

「な、泣いてるわけねえだろ!?お前こそ・・・。」

「は!?泣くわけないでしょ!うるさいよこのムサゴリラ!」

二人は頬を涙で濡らしつつ強く強く抱きしめ合った。
< 112 / 118 >

この作品をシェア

pagetop