磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
「え?」

「それにお前・・・もったいねえよ。」

照れたように目を逸らす。

「え?何が?病院でも『もったいない』とか言って・・・。」

「あれはセンスあるのに仕事やる気ないからってことで・・・今、俺が言いたいのはだな・・・その・・・。」

珍しくもごもごと口ごもる。

「だから何?」

「お、お前・・・化粧も髪も服も、そっちの方が全然いいよ。」

───というか、相当かわいいんだが・・・肌きれいだし、シャープな輪郭の小さな顔にきゅっと綺麗なパーツがつまってて・・・多分元々目力があるのに厚化粧してるからくどくなってるんだろうな・・・それに小さめで鼻筋が通った鼻と、口角が上がった薄くて小さい唇・・・髪もあげてた方が顔が引き立つっていうか・・・。

「・・・え、え!?何言っちゃってんの!?変なものでも食べた!?」

悠馬が無意識に目線を真海に戻してじっと見つめると、彼女は激しくうろたえた。

「その、お前の化粧はだな、元々綺麗な色してて味も濃い野菜に、着色料で変な色つけて、さらにやたらめったら調味料塗ってせっかくの素材の味をわからなくしたみたいな感じなんだよ。」

「は、はああ!?人の顔じろじろ見ないでよね!メイクのことも女心も何もわからないくせに余計なお世話だし!もう帰る!」

───何言ってんの、このムサゴリラ!!

真海は残ったアイスココアを一気に飲み干して席を立つと返却カウンターにグラスを置き、逃げるように出口から出て行った。
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