磁石な恋 ~嫌よ嫌よは嫌なだけ?~
その声の主が誰かを認識するのに若干の時間がかかった。過去のものとしてアーカイブされていた元彼だった。
「君とすごく話したかったんだよ。」
「私はあなたと話すことなんて何一つないから。」
そう言って目も合わせず通り過ぎようとすると『"彼氏"とは別れたんでしょ?』と聞かれ思わず振り向く。
「というか僕は本当に彼氏だとは思ってないけどね。どう考えたってあの野蛮で下品な感じの彼の妄想でしょ。真海、『何言ってるの!?』って感じだったものね。大丈夫?つきまとわれて変なこととかされてない?」
「あなたには関係ない。」
もうこれ以上一言も交わしたくなかった。彼の声や姿を知覚したくない。自分の中の彼の記憶を新たに増やしたくなかった。
「待ってくれよ。目ぐらい合わせてくれてもいいんじゃないか。」
そう言って腕を捕まれる。悠馬と対照的に冷たい手だった。
「離して!」
振り払おうとすると逆に両手を掴まれ近くにあったあずま屋の壁に強引に押し付けられ、顔をグッと近づけられる。足元にアイスココアのカップが落ちて転がった。
「君とすごく話したかったんだよ。」
「私はあなたと話すことなんて何一つないから。」
そう言って目も合わせず通り過ぎようとすると『"彼氏"とは別れたんでしょ?』と聞かれ思わず振り向く。
「というか僕は本当に彼氏だとは思ってないけどね。どう考えたってあの野蛮で下品な感じの彼の妄想でしょ。真海、『何言ってるの!?』って感じだったものね。大丈夫?つきまとわれて変なこととかされてない?」
「あなたには関係ない。」
もうこれ以上一言も交わしたくなかった。彼の声や姿を知覚したくない。自分の中の彼の記憶を新たに増やしたくなかった。
「待ってくれよ。目ぐらい合わせてくれてもいいんじゃないか。」
そう言って腕を捕まれる。悠馬と対照的に冷たい手だった。
「離して!」
振り払おうとすると逆に両手を掴まれ近くにあったあずま屋の壁に強引に押し付けられ、顔をグッと近づけられる。足元にアイスココアのカップが落ちて転がった。