とある教員の恋愛事情
若葉は自分だけ入るのもなんだから、と松永を先に風呂に案内した。来客用のバスタオルを置く。男物の着替えがないのは仕方ないだろう。
松永は10分程で出てきた。
「タオル、ありがとう。先入っちゃってごめんね」
「う、うん…」
松永は若葉の風呂上りを見たがったけど、彼の姿もなかなか色気があった。普段セットしてる髪が下りている姿は新鮮だ。
「ん?何?」
しばらく見ていたら気づかれたので、慌ててお風呂に向かった。
「…………」
「…………」
若葉が風呂から出て、ひととおり支度をして部屋に戻ると、なぜか沈黙が続いた。
「あのー、……風呂上り、期待と違った?」
若葉は遠慮がちに聞いた。
「え!?いやそんな事ない!すごいかわいい…
って、いや、違う、
風呂入ったら酔いが覚めて、何か俺すごい事言ったなって恥ずかしくなって」
「え、そうかな?」
「うん………だってさ、
このあと、…どうする?」
「えっと……」
「俺が考えてるような事、してもいいのかなって、迷ってる……」松永が近づいて来る。
「……若葉。好きだよ」
そっと触れるだけの優しいキス。唇が離れ、至近距離で見つめられると、松永の視線から目が離せなかった。
「……何も言わないと、続けるよ?」
そういってまたキスされる。
「んっ……」
次第に舌を絡ませるようなキスになり、ベッドに押し倒された。首筋や胸元にキスが移っていく。
「……っ!」
裾を捲り上げ、松永の手がそっと入ってくる。優しく、撫でるように肌を辿る。
手はそのまま上へと上がっていき、若葉の服を取り去った。
「……松永さんも、脱いで…?」
若葉も松永のTシャツに手を伸ばし脱がせた。男性らしい筋肉質なシルエットが現れる。
素肌で抱き合うと、どうしてこんなに気持ち良いのだろう。その感触とぬくもりに、若葉は頭がクラクラした。
「……ねえ若葉、俺の事は名前で呼んでくれないの?」
「呼んでみて?」
そう言いながら、松永は若葉の胸の先を舐めた。
「ひゃっ…んっ……」
片方は舌で、片方は指先で敏感な所を責められ、若葉の息遣いは荒くなる。
「んっ……い、くと…?」
「うん、嬉しい。もっと呼んで」
「…………ここも触っていい?」
松永がそっと触れた若葉の下半身は、自分でも分かるほどすでに濡れていた。
「……うん…」
クチュ、クチュ……
松永が優しくなぞるように指を動かしただけで、しんとした部屋に水音が響く。若葉は恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「んっ…やっぱりだめ……もぅ……やめて…?」
きっと真っ赤であろう顔を隠しながらそう言うと、松永にクスッと笑われた。
「それは本気のダメじゃないでしょ…?ここは、もっとしてって言ってるみたいだけど…」
閉じようとした脚は優しく戻されてしまった。
松永の指は、もう若葉の気持ちいい所を見つけたようだ。わざと聞かせるかのように音を立てながら、優しく、激しく、責めたてる。
「……っ…や……んっ………ああんっ」
あまりの気持ちよさに、頭が真っ白になる。ついに若葉は、身体を震わせて達してしまった。
「……かわいい」
はぁはぁと息を乱して涙ぐむ若葉を抱きしめ、松永が囁いた。
「……若葉、入れていい……?」
若葉が頷くと、ゴムを付けた松永が入ってくる。
初めは、若葉の様子を伺いながら押し当てるように、ゆっくりと。
「……っ、はぁ……気持ちいい…」
少し苦しそうな表情が愛おしくて、若葉は身体の奥が疼くのを感じた。
松永は次第に動きを強め、腰を打ちつけてくる。
「んっ、…………ああっ…郁人っ……郁人っ……」
気持ちよさの波にに飲み込まれそうになった瞬間、何度も松永の名前を呼んだ。そして、若葉の記憶は途切れた。