とある教員の恋愛事情
その後はお風呂に入り、2人でテレビを観てのんびり過ごした。気づけば23時。そろそろ寝るかとベッドに入る。
「じゃあ、おやすみ」
松永はそう言って電気を消した。若葉に気を遣っているのか、そのまま大人しく寝るつもりのようだ。
「……ねえ、郁人」
「ん?」
「困らせてごめんね。私もう大丈夫だから」
「全然。それだけ若葉に思われてるって考えたら嬉しい話だし」
「めっちゃポジティブ!」
若葉はくすくす笑った。
「それに、俺だって気になるよ、若葉の過去の男の話」
「え?」
「今は聞かないけど、いつか教えてよ。絶対嫉妬するって分かってるけど、聞きたいよね、そういう話」
そう言うと松永は若葉に覆い被さった。
「……もう他のやつに渡すつもりないけど」
「――っ!?」
松永はスイッチが入ったらしい。キスをしながら、手はいつの間にか服の中に侵入している。
「……っ、郁人、待って」
「ん?ごめん、嫌だった?」
松永が身体を起こそうとしたので、慌てて彼の頭を押さえる。松永は若葉の胸に顔を押しつけられた格好だ。
「わ、うぷ、何…!?」
「……えっと……今日は私が上になる」
「えっ!?」
若葉は松永の上に跨った。部屋が暗くてよく見えないが、松永は恥ずかしいのか手で顔を覆っていた。
「……若葉、その…本当にやるの?」
「うん。郁人が嬉しい事、したいの」
「そりゃ……嬉しいけど……無理してない?
すごくいけない事させてる気分」
「そんな事ない。私がしたくてする事だから」
そう言うと、若葉はそっと松永に触れた。
最初は手で、次は舌で。ゆっくりと、彼を刺激していく。
「……っ、……若葉、それほんと、やばい……」
松永は荒い息づかいをしながら、時々耐えるように声を漏らした。それが嬉しくて愛おしくて、若葉は手を止めなかった。
「も……ほんとにダメ。ストップ!」
松永が突然若葉を引き剥がした。
「え、ごめん…痛かった?」
若葉は驚いて聞き返す。
「いや、……正直最高だけど…
…俺だけ満足するんじゃ嫌だから」
そう言うと若葉はひょいっとベッドに倒された。
「ほら、若葉も、気持ち良くなって?」
そう言って後ろから手が回ってくる。
「……っ、まだ途中…んんっ」
言いかけた唇はキスで塞がれる。
――結局、その夜は形勢逆転したまま離してもらえなかった。