私は女の子にはなりたくない
 「いい子いい子」

 「や、はず・・・」

 普段無表情の凛々が口角を上げて笑うから。

 手なんかどかせるはずもなく。

 仕方なく、されたままになる。

 「あ、あのッ!東雲紫乃が、白乃様を呼んでます・・・!」

 顔を真っ赤に染めた女の子が、ドアを指差して言った。

 東雲紫乃(しののめ しの)・・・。その名前を聞いて、体が硬直する。

 「・・・ありがとう」

 伝えてくれた女の子にお礼を言って、ドアのほうを恐る恐る見る。

 みんなの前だからか、もじもじとして弱気そうな雰囲気をしている。

 「行ってくるね・・・」

 紫乃に呼ばれて、無視するのは凄く怖いので行くことに。
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