MINE.
窓の外に、アイスを食べながら帰る女子高生たちの姿を見て、アイスを買いたかったんだったと思い出す。
どこか、近くのスーパーでおろしてもらおうかな。
次に目に入ったのは、信号待ちをする夫婦。
男性の方はベビーカーを見ている。
「松田は結婚しないの?」
「……はい?」
ミラーを見ると、目が合った。
赤から青信号に変わる。車内に降りた沈黙が重く、後ろからクラクションを鳴らされるまで何も動かなかった。
わたしも、松田も。
勢いよく発進した車にわたしは体勢を崩した。
松田は謝ったけれど、わたしの質問には何も答えなかった。