MINE.
握手
着いたのは、何故か屋敷の方だった。
「え、なんで?」
「あ、間違えました。すみません」
少しも悪いと思ってないような声で、松田は言う。
陽乃さんに顔見せてください、と家に上げられる。
異母兄の五十鈴さんはまだ帰っていないそうで、離れの方へ向かう。わたしの居場所は今でも離れにしかない。
途中、台所にいた陽乃さんに声をかけると嬉しそうな笑顔が見られた。
「全然帰って来られないから心配してたんですよ」
「え? でも数カ月じゃないですか?」
「前は月に二回は来られてたのに」
「あ、ああ……ちょっと頻度が多いかなって……」