MINE.
全く洒落ていない。
「おじさんみたいなこと言ってる」
「まあもう充分歳ですけどね」
「……何かあったの? ここら辺で仕事?」
話題を変えたくて尋ねる。松田はワイシャツとネクタイだけで、軽装だった。スーツをどこかへ忘れてきたとは考えにくい。
「はい。それで偶には絹さんの運転手でも、と」
緩んだネクタイを取りながら穏やかに笑う。それからわたしの隣に並んだ。
「乗っていきませんか?」
「乗ってく!」
即答。松田の腕を取ろうとして、ぱっと離した。
不思議そうな顔をこちらへ向ける松田に言い訳をするように、少し距離を取る。