MINE.

わたしも家でお茶が飲みたくて淹れることがあるけれど、松田と同じ味にはならない。

「それなら、もっと飲みに来てください」
「居酒屋さんみたいな台詞ね」
「最近来られないので、何かあったのかと思いました」

それを松田本人に言われるとは思わず、テレビから視線を逸らす。

松田は甘いものがそこまで好きじゃない。甘党か辛党かで言えば、断然辛党だ。

だから、もう松田の家になったこの場所に、甘味を置く必要は無いのに。

「便りの無いのが良い便りって言うじゃない」

笑ってみせる。

「……そうですね」

松田はわたしを否定しない。

< 25 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop