MINE.
お風呂から上がって化粧水をつけていると、松田が後ろのソファーに来た。ドライヤーのコードをさして、わたしの髪の毛に当て始める。
「松田さー」
「はい?」
「恋人はどうなの? いるの?」
「い……ませんけど……」
引いた顔をしている。声色でわかる。
「本当に?」
ドライヤーの音が止まった。
「絹さん」
「うん?」
「何を言いたいんですか」
直球な質問に、こちらが黙ってしまう。
「何って」
「結婚とか、恋人とか、会社だったらセクハラ案件かと思いますが」
その言葉がズドーンと頭に落ちてきた。
そんな、確かに、そうだ。