MINE.
月夜

どんなことですか、と返ってくる。

何だっけ。
月を見上げる。

「あ、電車が嫌な日に呼んだら来てくれたなーとか」
『今だって、呼ばれたら行きますよ』
「今はちゃんと乗れるから良いの」
『そうですね……絹さんはすごく、大きくなりました』

大きくって。
笑うと、持っていた缶の中身も揺れた。零したら大変、と立ち止まる。

「買食いもするようになって。嬉しいやら悲しいやら」

缶ビールを取られた。松田はどこから現れたのか、そのままわたしの手首を掴む。

なんでいるの、と問いかけられない。

「松田」

あのね、好きなの。

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