MINE.

言いたい。伝えたい。だってどんなに伝えたって、伝えきれない。

「はい」

振り向いたその笑顔が優しいから、何度だって好きになる。

「……ビール返して」
「あー最近歳ですかね、耳が遠くて」
「ビール! 返して!」
「絹さん、ご近所迷惑ですよ」

窘められる。なんか納得いかない。

するりと手首を掴む力が抜けて、離れるのかと思ったら手を握られた。
温かい手だ。

「本当に、いつでも来てくれる?」

その横顔に尋ねる。

「今も来てます」
「今は呼んでない。てゆーか、どうやってここ分かったの」

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