MINE.
思えばこの前は、松田が不機嫌なまま別れたのだった。
そんなのすっかり忘れていた。
「電話、何か用事だった?」
「……この前、失礼なことを言ったのを、謝罪したくて」
「失礼? 覚えがありすぎる」
「それもどうかと思いますけど。いえ、それに紛れてるなら良いです」
良いんだ、と笑う。まあ松田が良いなら良いけれど。
先程の、菱形くんの言葉を思い出す。
松田の良いところを超えられるような人を、好きになる。
でも、松田はやっぱり何にも代えられない。
「松田の良いところは」
ビル群から少し離れた住宅街。