MINE.
「どこか痛いとか」
「今日は転んでない」
「どこも異常なし」
「ナシ。お酒飲んだからかな、涙腺が緩んでた」
はあ、と松田は項垂れた。
それから立ち上がる。
「なら良かったです。帰ります」
「え、帰るの」
「すみません、明日早いんです。五十鈴さんの送迎がありまして」
「そっかー」
唇を尖らせる。時計を見ると、深夜一時。
「寝て行けば? もう遅いし」
「いえ」
松田はジャケットを持って首を振った。
「絹さんは明日お休みですか?」
「うん」
「ゆっくり休んでください」
「松田は、運転気を付けてね」