MINE.
一緒に玄関まで行く。
「はい、ありがとうございます」
靴を履いた松田が振り向く。
その胴体に抱き着いた。来るとは思わなかったみたいで、後ろに少しよろめく。
ぎゅっと腕に力を入れて、顔をシャツに埋めた。
「どうし……」
「最後だから赦して」
赦せるものでもないのかもしれないけれど。
でもどうか、今だけは。
「はい」
背中を擦られる。松田はわたしが抱きついても、抱きしめ返してはくれない。
それでいい。
それがいい。
あなたはわたしのものだと思ってたけれど。
本当は、わたしがあなたのものだったんだ。