MINE.
なんでもうちの会社の取締役は幼い五十鈴さんを可愛がっていたらしく、五十鈴さんはふらりとここへ来る。
「どうですか、最近の調子」
「この前交換お願いしたので調子良いです。ありがとうございます」
「いえ、また何かあれば」
わたしが呉野家の人間であるのは会社の殆どの人が知っている。五十鈴さんと異母兄妹であることも。
最初は恐る恐る見守られていたけれど、今では五十鈴さん担当を押し付けられている。
「五十鈴さん一人?」
来賓室が無いので小会議室でお茶を出していた。五十鈴さんは怪訝な顔を向ける。