MINE.

「今すっげえ興味ねえなって顔したな」
「五十鈴さん、チーズナン半分こしましょう」
「良いけど」
「まだあの屋敷に来たばかりの時、夜に母屋の廊下を彷徨いて陽乃さんを探してたら素子さんに見つかって、鬼のような形相で怒られたことがあります」

その内容は口には出さないが、今でも覚えている。

子供は案外、大人の言うことをきちんと理解して、そのうえ覚えている。

素子さんに言われたことも、五十鈴さんに無視されたことも。

「子供ながらに傷付きましたし、大人気ない人たちだなとは今でも思ってますが」
「今でも」
「でも身寄りの無いわたしを高校まで置いてくれたのは感謝しかありません」

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