MINE.
それは本当だ。
わたしはあそこへ行かなければ、松田にも会えなかった。
五十鈴さんは嫌そうな顔をしてメニューを閉じた。
「母親、研究者だったんだって?」
「はい」
「うちの母親はそれを多分、羨んでたんだろうな。絹の優秀さも同じくらい」
わたしも閉じる。近くを通った店員さんを呼び止めた。
注文を終えて、漸く水を飲む。
「お前が優秀だから俺もそれ以上を求められた。それで俺はお前が嫌いだった」
「……そうですか。もっと馬鹿なフリをすれば良かったです」
「それはもっと苛つくな」
先程の表情とは一変、可笑しそうに笑うので首を傾げてしまう。