MINE.
わたしが勉強を人一倍できるようにしたのは、癌を患った父が亡くなったらきっとわたしを守る者は誰も居なくなると思ったからだ。
生きていく為にそれ以外の選択が無かった。
「俺は母親が死んで初めて、お前の寂しさと心細さを知った」
顔を上げる。五十鈴さんと目は合わない。
おかあさん。
心の底にした蓋が開きかける。
寂しさ、苦しさ、悔しさ、心細さ、悲しさ、怒り。
全部そこに閉まってある。
「何の話です?」
「悪かったよ。これは懺悔だ」
蓋が開く。
どろどろと、流れる。
インドカレー屋を出たら、五十鈴さんがタピオカドリンクを飲みたいと言い出したので、デパ地下でそれを購入した。