MINE.

真夏よりは過ごしやすくなった駅のベンチでそれを飲んでいた。ちなみにわたしはお腹一杯なので見ている。

「カエルの卵ですね」
「飲んでる奴に言うな」
「松田、居ないかなあ」

なんて言っていたら、見つけた。
五十鈴さんのいう昔の女と並んで歩いている。髪の毛に艶がある。

想像したよりショックだった。
わたしの松田が、誰かにとられてしまう。

わたしのこの恋は、いつか愛に変わる日は来るんだろうか。

「松田も最近顔見る度、絹を見たかって聞いてくるから、今日連れて来たんだけど」
「それは前に陽乃さんに聞きました」
「お前以外が知ってる顔だな」
「……今日は意地悪しにきたんですか?」

< 58 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop