MINE.
二十四歳。
未だわたしは我儘を言って答えてくれる松田が好きで、姿を見れば駆け寄り、腕に絡みつきたくなる。
近くのパーキングに停めてあった車内は涼しく、先程着いたばかりなんだと分かった。あとは、松田と違う香水の香り。
女性ものっぽい。
くんくんと名犬みたいに鼻を利かせるわたしに気付かず、松田は運転席に乗り込む。助手席には絶対に乗せてくれない。
前に頼んだら「危ないので」と断られた。
わたしは叶えてもらえなかった我儘は繰り返さないようにしている。いや、好きだとは毎度言っていたけれど。