MINE.

言葉って、言った自分が一番気にしてしまうのだなという気付き。

「もうわたしもお嬢さんって歳じゃないし、そんなに過保護にしてくれなくても大丈夫よ」

取り繕うように、その黒いどろどろをひた隠す。

「俺にとっては、絹さんはいつまでもお嬢さんです」

何気ない言葉だったと思う。
悪意もない、いつも通りの、そんな言葉に。

ぷつん、と何かが切れる。

「そうね」

立ち止まり、言葉をぶつける。
同じように立ち止まった松田がこちらを見た。

「わたし、松田が好きなの」

それは殆ど暴力だったと思う。

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