MINE.
わたしは身寄りのなくて引き取られた幼いガキじゃなかっただろうし、松田はそれを世話する運転手じゃなかっただろう。
「でも仕方ないじゃない……十年後に生まれちゃったんだから……」
そうして、わたしは松田と出会った。
「俺は今年三十四になります」
「知ってる。今月、誕生日」
「絹さんは二十四で、貴方は優秀ですし、これからもっと人脈の幅が広がると思います」
静かに穏やかに言った。
「それを奪いたくないんです」
その言葉に噛み付く。
「何よそれ、わたしが松田と居るとその幅が狭まるの? ちゃんと言ってよ、わたしが好きじゃないって」