MINE.
「迎えに来ます。終わったら連絡ください」
ビルの前で松田が言う。
わたしは振り返りも、返事もしなかった。
少しも大きくなんかなってない。
手放せない。好きだから。大事だから。どこにも、誰にも、とられたくないの。
自分の気持ちに雁字搦めになる。
でも、松田はそうじゃない。
わたしのこと、八歳の頃から見てくれてるから、駅で通りすがった人よりは好きで居てくれるかもしれないけれど、わたしのこの気持ち程好きなわけがない。
分かってるけど。
分かってるから。
ぐるぐると同じ場所をまわって同じ場所に帰ってきた答えに、気が滅入る。