MINE.
何も手につかなくて残業していると、見かねた先輩に帰ることを勧められた。
仕事も出来ないなんて、社会人にもなれていない。
自分の駄目さ加減に涙を堪えながらエレベーターに乗る。二階で扉が開き、川崎さんが乗ってきた。
「おつか……え、大丈夫?」
「大丈夫じゃないよおお」
「うるさ」
「もうわたしはダメ人間なんだ……」
「ネガティブな呉野さん怖い」
「え? ネイティブ?」
「急に天然出してこないで」
川崎さんはボタンを押して、エレベーターの壁に寄りかかる。
「ネイティブ呉野は何があったの? 機器壊しちゃった?」
「縁起でもない……」