MINE.
もしかしたら、誰か大切なひとを助手席に乗せているのかもしれない。
それでも好きなんだもん。
何人恋人がいたって、高校を中退していたって、たくさんピアスの穴が空いていたって、どんな松田だって好き。
わたしの、心細かったあの生活の中で、唯一一緒に居てくれた。
それは何にも代えられない。
だから、どっか行っちゃわないでほしい。
傍にいてほしい。
名前を呼んでほしい。
名前を呼んだら、こっちを向いてほしい。
じわり、と目の奥が熱くなる。
自分の独占欲に食い尽くされそう。
いつも喧しく話すわたしが静かなのが気にかかったのか、松田はミラー越しにこちらを窺う。