MINE.
受付時間は過ぎており、もうカウンターには誰も座っていない。
「諦めるのを、諦めたら?」
わたしはその言葉を聞きながら、いや聞き流しながら、エントランスの外へ視線をやっていた。
いる。
いた。
なんで。
川崎さんはわたしの返答がないのに対して怪訝な顔をしながら、正面へと向き直る。
歩みが遅くなる。そういえば、帰るときに連絡しろと言われたような。
外で待つ松田は、きちんとわたしを捉えていた。その自動扉を抜ければ、きっと捕まる。
「川崎さん、やっぱり今日」
「あれ、あの人」
「お疲れ様です」
その声は重なった。