MINE.
陰に隠れるようにして言った。え、と川崎さんから声が漏れる。先程断ったのは他でもないわたしだ。
「ので、今日はお引き取りください」
ええー、と川崎さんの心の声が聞こえる。
「でしたらお送りしますし、迎えに上がります」
「い、いえ、結構です……」
「そんなこと仰らず」
「呉野さん……」
諦めたような顔を向けられた。わたしはその腕にしがみつき、川崎さんは藁よりも頼りにはなるけれど、藁をも掴む思いで顔を見上げる。
「松田さん、あの、部外者のあたしが言えることでは無いのは重々承知のうえなんですけど、呉野さんとちゃんと話してください」