MINE.
川崎さんが観念したように松田へと向かってくれた。
「呉野さんって大胆不敵だけれど、すごく臆病なところがあるじゃないですか」
「ああ、ありますね」
そんな客観的意見に恥ずかしくなる。臆病なところなんてあったのか、というか大胆不敵なところって。
「そこと向き合ってあげてください。呉野さん、今回は本気みたいなので」
じゃ、と川崎さんは手を挙げてひらりと振った。
わたしも反射的に振り返す。
エントランスを出ていく川崎さんを見送り、残されたわたしと松田。
何故残されて……?
あれ、掴んでいた藁はどこに行ったのだろうと掌を見つめる。