MINE.

しかし、冷気を放つその野獣と目が合う。

「な……違う、今は普通って言われたの」
「五十鈴さんの見合い話が進んでないのも、絹さんがいるからですか?」
「そんなわけないでしょう。ていうか、仮にそうだったとして松田には関係ない」
「俺はね、絹さん。馬鹿なんですよ」

松田はわたしの足が乗っていない方の膝を曲げた。
革靴がシートに乗せられる。行儀が悪い。わたしがやったら怒られていた、はずだ。

耳にいくつものピアスホールが見える。もう何年もしているのは見ていないけれど、塞がらない穴。

わたしの穴だって、塞がっていない。

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