MINE.

これから松田を失う大きな穴を、他の誰かで埋めることが出来るのか。

「俺は馬鹿なんで、絹さんの仕事内容のひとつも理解できてません」
「そんなの、世の中の人の殆どが分かんないでしょ」
「そんな自分が、絹さんの隣には並べません」

わたしは驚いた。

話し合いにはならないと思っていたから。
松田の考えは聞けないと思っていたから。

「なに、よ、それ」

膝を戻そうと力を入れるけれど、掴まれたまま戻らない。

並べないと思っていたのは、わたしだ。
並びたかったのも、わたしで。

「絹さんが誰と結婚しようが、そんなことはどうでも良いですけど」

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