MINE.

流される、と思い左手を挙げた。
その手も同じく、握られる。

「松田、離れて」
「どうしてですか」
「話し合いはどうなったのよ」
「俺を貰ってください」

言葉を返す前に、キスを落とされる。
松田の唇がこんなにも柔らかだったことを知る日がくるとは。

「……松田はずっと、わたしのものよ」
「そうでしたね。こんな俺で良ければ、結婚しましょう」
「そんな松田が良いの」

抱き着く。もう煙草の匂いはしない。
変わっても良い。変わらなくても良い。

「絹さん、愛してます」

恋が愛に変わる日がくるんだろうか。
そんなことを思ってたけれど。

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