MINE.
「俺が言われるのは構いませんが」
「あんなガキとって?」
「それ誰かに言われたんですか?」
瞳を覗かれた。いつしか見た野獣がその奥に鎮座しており、わたしは少し後退する。
「ちがう。松田が、豊橋さんと話すの、聞いたときの……」
ずっと前の。
もうきっと松田は忘れてるだろうけど、わたしはずっと忘れられない。
「豊橋さん? ああ、絹さんが俺に懐いてるって話とかですか?」
「うん。十も離れてるガキって」
「あー、言ったかもしれないです」
「ほら!」
大きな声が出た。自分の声の大きさにクラクラする。