MINE.
父はそういう人間を放っておけないのだ。
絹を引き取ったのと同じ理由だろう。
可哀相なものほど、可愛い。
商業高校を中退していた松田は呉野に来て、父の元で働くことになった。
勿論、素子は嫌な顔をしたが、父に逆らう者は一人も居なかった。
やがて、絹の運転手と世話役になったのを五十鈴は見ていた。
普段の絹の松田への様子に、ああ助言したが。
間違っていたかもしれない、と五十鈴は少し後悔していた。
自分が言うべき相手は、松田の方だったのでは。
絹を離すくらいなら食い殺しかねない様子を、五十鈴しか知らない。