甘い恋をおしえて
「本来なら、もっと早くに伺うべきでした」
佑貴は深々と一礼した。
「昨夜、靖から連絡をもらったよ。昔の茶会のことで君から詫びられたと言っていた」
佑貴は自分の知る限りを元秋に話し始めた。元秋は目を閉じて聞いている。
そもそも、祖母の登美子の嫉妬心から始まったことだ。
香風庵に迷惑しかかけていないのだから、佑貴も詫びることしかできなかった。
ひと通り佑貴が話し終わると、元秋はゆっくりと目を開けた。
「靖は、もう水に流そうと言ってきたよ」
「謝罪を受け入れていただけるのでしょうか?」
コクリと元秋は頷いた。
「私はね、過去のことよりこれからのことが心配なんだ」
「お義父さん」
「まだ、義父と思ってくれるのなら、莉帆と君の息子のこれからを考えてくれないか?」
「もちろんです。莉帆と話をさせていただけませんか?」
「ここに莉帆をよこすから、ゆっくり話し合ってくれ」
穏やかな笑顔を見せると、元秋は茶室から出ていった。